当院の施術や、説明で最も大切にしているのは、自律神経です。
なぜなら、それが身体の根幹にあるもので、
そこから整えなければ絶対に身体が整わないからです。
しかし、自律神経という名前はよく耳にしますが、
何のことかわかっていない方も非常に多いと思います。
今回は、良し悪しや、施術を無視して自律神経だけの話をしようと思います。
1.何故自律神経があるの?
1-①生命維持のため
1-②自然や病気から身を守るため
1-③敵と戦うため
2.自律神経の種類
2-①交感神経
2-②副交感神経
3.自律神経が傾く理由
3-①交感神経に傾きやすい刺激
3-②副交感神経に傾きやすい刺激
4.総括
5.関連リンク
自律神経とは、全ての動物、そしておそらく植物や虫も持っているものです。
何故自律神経というものが存在するのかから、掘り下げていきましょう。
生物の最も根幹にあるものはなんでしょうか。
これは考え方によって様々議論があるかもしれませんが、
ここではとりあえず、種族として、子孫繁栄である、と考えます。
子孫繁栄をするためには、健康な精子や卵子を作る必要があります。
そのためには、命を守る必要があり、生殖器だけでなく、内臓も元気にしなくてはなりません。
私たちが生きていくには、沢山酸素を吸って、血を全身に回して、
食べたものを内臓で消化して、そして溜まったゴミを出さないといけません。
そして、これは生きている限り続けていかないといけないことです。
仮にこれらの何かが止まれば、身体に機械を入れないといけません。
ペースメーカー、人工呼吸器、人工肛門・・・。
精密な機械をもって、やっとできることを、私たちは無意識で行っているのです。
これらを意識しないとできない場合には大変なことになりますよね。
仕事しながら、心臓を動かして、呼吸をして・・・。
おっと、さっき食べた食べ物も消化して吸収しないと!
・・・こんなんでは生活できるわけがありません。
だからこそ、人間の身体は意識して動かす部分と、意識しないで動かす部分を作ったのです。
呼吸も、心臓も、消化も、全て無意識下で行うことができます。
これは、自律神経が勝手にスイッチを切り替えてくれているからこそ、起きるのですね。
人間である私たちにはあまり関係ありませんが、
外界というのは命の危機に瀕するものが非常に多く存在します。
動物や虫、植物は屋根のある場所なんてものは基本的にありません。
あるとしても木々の葉っぱや、ちょっとした窪みと言ったような、
自然の産物で、運が良くないと巡り合えないものです。
そう考えると、自然のものは天候や気温の影響ももろに受けてしまうのです。
食事も摂れたり、摂れなかったり。
現在の人間には全く縁のない危険が多数存在します。
仮に私たちが今自然の中に放り込まれたらどうなるでしょう。
天候や気温に負け、直ぐ風邪をひき、そのまま死んでしまうかもしれません。
動物のように寒さを凌ぐ毛皮もなければ、しなやかな筋肉もありませんからね。
自律神経は、実は免疫や、筋肉をも動かします。
勿論、体温調整も行ってくれます。
先に体温の話をしていきましょう。
体温は勝手に上がるのではなく、
筋肉が細かく振動することで、熱を作り、体温を上げるのです。
体温が高い人は、その作った熱を外に逃がさないようにします。
汗をかいたり、毛穴を開いて熱を逃がすのですが、
それの逆をすることで、体温を身体の中に閉じ込めます。
汗をかくのも、毛穴を閉じるのも無意識でおこなっていますよね。
それが、自律神経の働きです。
また、ウイルスが入ったときにも、体温を上げます。
人間の身体の中で働く免疫細胞は、37~8程度が最も働きやすいといわれています。
高熱の時に身体が冷えるように感じるのは、ブルブル震えて熱を作るためなんですね。
そして、自然の中で暮らす場合には最も重要なのがこちらです。
最初に子孫繁栄と書きましたが、そのために必要なことはなんでしょう?
雄であれば、大きく強い肉体を持ち、戦いに敗れないこと。
そして、雌や子供を守るために命を張る必要があります。
雌であれば、子供を育てるのが最重要ですが、時には守らないといけません。
また、強い雄を手に入れるための戦いも必要となるでしょう。
どちらにしても、様々なものと戦う必要があります。
そうしなければ、そこで自分の種が途絶えてしまうからですね。
だからこそ、戦わないといけないときには、戦える身体に作り替える必要があります。
戦える身体とは、攻撃ができて、攻撃を受けても死なない身体です。
戦いを終わらせるには勝つ必要があります。
そして、何より死なないことも重要です。
勝つためには、攻撃しないといけないので、筋肉がつかえないといけません。
なので、筋肉にどんどん血を回し、活躍させる必要があります。
しかし、逆にそんなに筋肉に血が回ってしまえば、
筋肉を損傷したときに出血多量で死んでしまいます。
なので、筋肉は固めながら、血を多く回して、
壊れないけどしなやかで、血の流れの良い身体を作るのです。
しかし、固い筋肉には血を流すのも大変です。
なので、心臓が大きく動いたり、早く動いたりするのです。
その際、内臓なんかに血を回していては血が足りません。
内臓には血を回さず、筋肉と脳にガンガン血を回して、
頭の回転は速く、筋肉には潤沢な栄養を回す身体になるのです。
また、自然災害に対しても、自律神経は敏感に働きます。
②に書いた体温の管理だけでなく、その災害そのものに対しても反応が起こります。
濡れて体温が下がるのが大変なのであれば、そもそも濡れないようにする必要があります。
その際、逃げるには使える、逃げられる身体に作り替える必要があるのです。
その結果、上記の戦いと同じような反応がおきるようになります。
上記に書いた通り、自律神経には生命維持、子孫繁栄の目的があると書きました。
しかし、上記の中だけでも相反することが書いてありますよね。
戦いの身体を作ったところで、身体の中のウイルスはやっつけられませんし、
内臓の働きが落ちてしまうので、栄養は効果的に吸収できません。
逆に、栄養吸収や、身体の中のゴミを出す身体では、
戦えませんし、何かから逃げることもできません。
なので、自律神経には大切な二種類のスイッチを切り替えながら、
健康で元気な身体を働かせているのです。
一つ目が、よくアクセルに例えられる「交感神経」です。
上記で言うと、戦う神経で、戦える身体に変えるのがこの神経です。
身体の反応で言うと、
・瞳孔が開く
・筋肉を固める
・心臓が早く、強く動く
・血管を細くする
・呼吸が荒く短くなる
・消化器、免疫の内臓の働きが悪くなる
といったような反応になります。
瞳孔を開き、光を沢山集めることで情報を探り、
筋肉を怒張させ、毛を逆立てる筋肉を働かせることで、
自分を大きく見せ、出血しないように血管を細くし、
酸素を多く取り入れるため、一度に吸って吐く量が増えます。
逆に必要のない消化器や、免疫は働きを抑えて無駄な栄養を使わないようにします。
内臓の中でも、肝臓だけは、戦うための栄養を作るため、必死に働きます。
興奮させるために数か所のホルモンを出す内分泌系も働きます。
水分も重要なので、おしっこができにくかったり、涙やよだれも出にくくなります。
二つ目が、よくブレーキに例えられる「副交感神経」です。
上記で言うと、免疫を高めたり、消化したりする場所です。
身体の反応で言うと、
・瞳孔を閉じる
・筋肉を緩める
・心臓をゆっくり、大きく動かす
・血管を広げる
・呼吸を深く長くする
・消化、免疫を沢山させる
といったような反応になります。
副交感神経はブレーキと言いましたが、身体を回復させて休ませるものだと思ってください。
なので、脳を休ませるために瞳孔を小さくして、光をあまり入れず、
筋肉を緩めてなるべく動かないようにし、
内臓や免疫の器官で作った物質を送り込むため、
血管を広げて、全身にいきわたらせるために心臓はゆっくり動き、
酸素を沢山取り込めるように呼吸はゆっくり大きくなります。
また、食べ物の通りと消化を助けるため、唾液が沢山でるようになります。
血管が太くなるので、沢山血管の回る目はうるおいます。
そして、血液がしっかり回った後、老廃物を捨てるために排便をしやすくなります。
そんなアクセルとブレーキ・・・交感神経と副交感神経ですが、
正常に働いていれば、半々くらいで働いているものと考えてください。
しかし、現在の生活ではこのバランスが乱れることで、様々な障害が起きているのです。
どちらの神経も、多く働き過ぎれば、人間の身体は優秀なので、
そちらの神経を多く使うようになります。
出したり戻したりよりも、使うなら出しっぱなしのほうが効率良いからですね。
しかし、それが過ぎれば結局戻らなくなり、
ブレーキもアクセルもどちらも踏み込んだままの状態になってしまうのです。
交感神経は上記に書いた通り、戦いに向かう神経です。
なので、攻撃されたり、戦いを多く行う場合には、
こちらの神経にスイッチが入りやすくなります。
攻撃といっても、身体に対しての刺激だけではありません。
精神面への刺激も攻撃に含まれます。
精神面への攻撃とはいえ、受け続ければ命の危機になるからですね。
雷や多湿のような、嫌な刺激なので、ある意味では災害と同じわけです。
その攻撃に対して逃げたり、戦ったりしないといけないので、
直接刺激がなくても、交感神経のスイッチが入ってしまうのです。
例えば、嫌な上司にネチネチ言われたら、握りこぶしを握りますよね。
その嫌な気持ちを解決するもっとも原始的な手段は暴力なのです。
だから、無意識に握りこぶしを握ってしまうのですが、そこで理性の葛藤が生まれるわけです。
本当は解決しないといけないそのネチネチを解決できないままでいると、
ストレスが長くかかり続けている状態になり、交感神経のスイッチが入りやすくなります。
その結果、交感神経が入り続けているので、常にイライラ攻撃的になるのです。
また、我々は人間といえ、動物の一種です。
そのため、天気や気圧、気温の影響を受けて、交感神経のスイッチは入ります。
上記のような状態が続いていたうえで、天気が悪くなると大きく傾いてしまうわけです。
その交感神経は様々なものに対してスイッチが入りやすくなります。
物音に敏感になる、様々なものが目につく、などですね。
普通は気にならないものや、交感神経のスイッチが入るものに対しても、
ギリギリのラインでこらえているので、スイッチが入りやすい状態になってしまうのです。
副交感神経はリラックスする神経です。
刺激がない状態の場合には、これが生きるためには重要といえます。
内臓の働きも、排出もするので、こちらが働けば働くほど、身体は喜ぶわけですね。
しかし、現在の世の中ではそういうわけにはいきません。
生命維持だけで生きることは不可能ですし、
どんな娯楽も、ある程度のストレスと隣り合わせにあります。
なので、普通に生活を送っている場合には、副交感神経に傾くことは少ないのです。
生活と仕事に追われ、休みでは家族サービスや人付き合い。
長期の休みになれば遅くまで食べ飲み歩き、睡眠を削って楽しむ。
そんな覚えのある方も多いのではないでしょうか。
さて、上記のような生活を送っている場合には、リタックスする時間はありますか?
初めのほうに書いた通り、基本的には自律神経は半々で働いているのがベストです。
リラックスしている時間も、睡眠時間を合わせてもよいので、
12時間取らないといけないと考えると簡単かもしれませんね。
ゆっくりテレビを見るでも、音楽を見るでも良いです。
好きな食べ物を食べるでも、お風呂につかるでも。
ストレッチ、マッサージ、散歩などでも良いですね。
気持ちが和らぐ時間を、一日の半分はとらないといけません。
お仕事をしている時点で、一日は16時間もありません。
そして、睡眠時間を8時間と考えると、残るのは8時間です。
そのうちの4時間はリラックスの時間をとっていますか?
普通に考えたら取れませんよね。
よく、副交感神経を高めるものとしてヨガや食べ物が紹介されています。
しかし、一時的に副交感神経を高めたところで、
普段からないがしろにされているので、上手く働くわけがないのです。
自律神経の重要性はわかっていただけたかと思います。
では、それが乱れ続けるとどんな症状が起こるのでしょうか?
なりやすい種類の人と同時に症状を見ていきましょう。
交感神経の昂りやすい人は、
・ブラック企業に勤めるサラリーマン
・幼稚園・保育園の保育士さん、小中学校・高校の先生のような教育者
・スポーツ選手や、筋トレマニア
・主婦、パートタイマー
・学生
などがあげられます。
この方々は付き合いが多かったり、身体を過度に使うため、
交感神経を常にスイッチしておく必要があります。
サラリーマンや教育者は言うまでもありませんね。
スポーツ選手や筋トレマニアは、筋肉を多く使うために
交感神経を高める競技なので、高めないといけないのです。
そして、意外と思われるかもしれませんが、
主婦やパートタイマーの方、学生さんも交感神経は昂りやすいです。
この方々は下手すると、サラリーマンよりもマルチタスクが求められます。
サラリーマンの場合には、労働時間も勿論として、
嫌な上司と手のかかる部下へのストレスかもしれません。
主婦、パートタイマーの方の場合には数多くのタスクがあります。
家事をしながら買い物もして、旦那の服や食事も考え。
子供がいれば、子供の将来を考え、栄養や健康も考え。
常に頭を使わないといけないため、交感神経のスイッチが入ったままになるのです。
ある意味では、時間との闘いなので、戦わないといけないわけですね。
そして、学生さん達。
この方々が最もないがしろにされるのですが、かなり自律神経を乱されます。
歯向かえない先生や先輩、勉強、部活と忙しい生活。
良かれと思って言われる両親などからの理想なども、強いストレスになるでしょう。
そして、何より今の学生さん達はめちゃくちゃ忙しい。
我々が子供の頃よりも、部活はハードで勉強は細かく、
習い事の種類、頻度は増え、ほぼずっと活動しているといえます。
では、交感神経がずっと昂るとどうなるでしょうか。
・肩こり、首の懲り
・腰痛、背中を攣りやすい
・便秘、腹痛、不眠、頭痛、生理痛、勃起不全
・イライラしやすい、疲れが取れない
といったような様々な症状が出ます。
これらはいくらストレッチをしても、マッサージをしても、
交感神経のスイッチが入っているため、無くなりません。
交感神経に偏り過ぎた自律神経を整えることから始めないと治らないのです。
では、逆に副交感神経が昂りやすい人はいるのでしょうか?
あまり多くはありませんが、いないことはないです。
・長期間入院、治療者
・引きこもり
・フリーター
などがあげられます。
虐げられやすい方々ですが、ある意味では副交感神経のせいとも言えます。
長期間入院や、治療している方は、刺激がどうしても少なくなります。
勿論、リハビリなどもあるでしょうが、それでも刺激は少ないです。
集団生活によるストレスなどもかかりますが、
それ以上に交感神経と副交感神経のスイッチが曖昧になってしまうのです。
引きこもりの方もそうですね。
勿論、様々な刺激に対してストレスのかかりやすい方々ですが、
交感神経の入る時間よりも、副交感神経が入っている期間のほうが長いです。
フリーターの方の場合もそうです。
ただ、この方々の場合は、交感神経の方々と違って、
治るには自分の力もかなり必要になります。
交感神経の方々は、ストレス源や、活動量を減らしていくのが重要でした。
この方々の場合には、逆にストレス源や、活動量を増やさなければならないのです。
しかし、先にも言った通り、副交感神経はリラックスする神経です。
ストレスや、活動を増やそうとしても、身体が付いていきません。
それは、本人がさぼろうとしているわけではなく、
活動するためには自律神経がしっかりと切り替わらないことが問題なのです。
副交感神経が優位になってしまうと、
・常にやる気が起きない
・沢山寝ているはずなのに眠くて仕方がない
・身体がうまく動かない
・何かに対する気持ちが長続きしない
と言ったような症状が出ます。
本人に変わりたい気持ちがあっても、身体が付いてこないんですね。
なので、いくらはっぱをかけても、効果が続きません。
交感神経のスイッチが入らないのですから。
今回は自律神経の話でした。
交感神経と、副交感神経のバランスの重要性はわかっていただけたでしょうか?
自律神経からつなげることで、様々な症状は説明が付きます。
肩こりから便秘、生理痛から胃もたれまで。
どんな症状も根底には自律神経が潜んでいるのです。
だからこそ、当院では自律神経を大切にしています。
自律神経を整えるには、自律神経の働きを半々にすることから始めてください。
交感神経、副交感神経のスイッチが入らないのは、使っていないからです。
自分で半々にできる方であれば、その方はある程度健康です。
しかし、良く出来ならない方は、そのスイッチを作るところからする必要があります。
そのスイッチを作るのは施術を受けるのが最短に道です。
できるだけ、自律神経は乱さないようにしてくださいね。
そして、乱れた自律神経は早く調整してしまいましょう。